夏休み中の娘が、風邪をひいた。

のどの異変→高熱→長引く咳。

親としては百日咳かもと思っているのだが、休日診療の開業医を受信した際とくに検査は行われず、咳止めや抗生剤を処方されたのみだったので、結局診断名はついていない。

症状が出てから2、3日目にお灸はしたが、時すでに遅し。

娘の体内では、長編ストーリー「百日咳(かも)夏休み編」はスタートしてしまっていた。

経験上、風邪の類は「ひいた・・・かも?」くらいの時期で熱ーいお灸をすえておくと、けっこう回避できるのだが。仕方ない。

それでも、太淵や定喘、孔最や尺沢、中府など、ひどい咳によいと思われる経穴に施術すると、本人はいくらか楽になったと感じるらしく、「ママ、今夜もお願い。」と言ってくる。

熱は順調に下がり、あとは咳が静まれば・・・という、発症5日目、私が朝からいない日に娘は部活に出かけ、炎天下の校庭でばっちり運動してしまった!

もう!なぜ! 案の定、その晩また発熱し、咳ももちろんひどい。

私や娘は、発症からずっと病因には行かず、自然治癒を狙っていた。しかし、あまりの咳のひどさを見かねた夫が、3連休中に休日診療に連れていくことにした。

百日咳だとしたら、発症初期にマクロライド系の抗生物質投与で改善が期待できるらしい。もう発症から1週間ほど経っているからまだ初期と言えるか分からないけれど。

あまり薬に頼らず・・・とは思ってはいたけれど、処方された薬のうち、抗生物質(クラリスロマイシン)だけは飲ませてみることにした。

ちょっとは咳が楽になった・・・ようだ。

このまま菌が、体内で死滅してくれればよいと思ったのだが。

薬を飲み始めた翌日、娘の手足に、ぶわあ~っと蕁麻疹が浮かび上がりだした!地図上に膨れ上がり、なんとも痛々しい。こんなことは初めてで、二人で驚きながら急いで保冷材で冷やす。

初めは食物アレルギーかとも思ったが、食材が色々変わっても同じように蕁麻疹が出るのだから、これは薬が原因だろうということになった。ネットで「抗生剤 蕁麻疹」と調べると、珍しいことではないらしい。曲池に円皮鍼を貼り、だんだんと蕁麻疹がひいていくのを見守る。「ちょっと薬飲むの、やめておこう。」しかし、次の日も同じように蕁麻疹は娘の四肢を腫らした。

抗生剤を飲むのをやめて翌々日、ようやく蕁麻疹は出なくなった。

免疫の反応は、一歩間違うとこわい

免疫の反応は、一歩間違うとどの方向へどんな強さででるのか、見当がつかないことがあるからこわい。免疫というのは、簡単にいうと、自己と非自己の認識からくる。自分でないものや自分に有害なものを攻撃する体内の軍隊みたいなものだ。

軍隊だから、攻撃し、戦争状態になる。(=炎症)しかし、戦わないと、外からくる侵略者(ウイルスや菌その他)にやられっぱなしだ。炎症というと悪いことみたいにとらえがちだが、体を外からくる悪いものから守るためrに、白血球やリンパ球が戦っているのだ。

アレルギーにステロイド剤を使うのは、抗炎症作用があるホルモンだからだ。軍隊の戦いをおさえる。戦争状態は収まるが、免疫自体も抑えてしまっているので、そのゆるゆるになった隙を狙って別の新たなウイルスや菌にやられやすくなる。

また、近年大変な勢いで増加中の自己免疫疾患は、自分で自分を攻撃してしまっているような状態だ。

自分で自分の骨や滑膜を攻撃しているのがリウマチ。

自分で自分の皮膚や血管を壊してしまっているのが全身性硬化症。

自分で自分の甲状腺を攻撃したり刺激したりしてしまっているのが、橋本病・バセドウ病。

弱い免疫も問題だが、暴走する免疫はもっとこわい。

免疫は、強ければいいというものではない。適材適所、必要なだけいい塩梅で働いてくれることが大事なのだ。

CМなどで、「免疫アップには〇〇を!」などといって乳酸菌飲料などが宣伝されているが、「そんな単純なものじゃないんだよ・・・。」と心のなかで思う。

私がお世話になっているドクターも「免疫は神の領域で諸刃の剣」というような趣旨のことを仰っていた。

とにかく今回の蕁麻疹は、抗生剤の成分が体内において異物とみなされてしまった可能性が高い。夫は「また病院にいけば。」と言う。今度は別の抗生剤に加えて蕁麻疹の薬も出るかもしれない。こうして薬がどんどん増えていくのだな・・・と思った。

百日咳(多分)だけならまだしも、新たに蕁麻疹やアレルギーの心配までする羽目になろうとは。娘は、もう病院には行かなくていいと言う。私も同意見だ。

夏休みだし、少々時間がかかってもいい、じっくり自分の免疫力で治していこうということになった。

投稿者

かおり

2022年度末に22年間続けた職を辞し、鍼灸学科の学生になる。自然・健康・環境に即した医療や生き方を、東洋医学を通して学び中。