先週の土曜日に、診療所でのお話会「東洋医学ってなあに?~舌診とツボを知って、セルフケアに役立てよう~」が無事終わった。
地域の方12名と、医療スタッフの方4名が聞いて下さった。
人前で話すのは約2年ぶりということで、1週間前からリハーサルに余念が無かった自分。
ICレコーダーに撮って、話の内容を聞き返してみる。うーん、ごちゃごちゃして、何を言いたいのかよく分からない。ただでさえ、東洋医学の序盤の部分はボンヤリしていて説明が難しいところである。入学したばかりの頃、この部分を鍼灸学科のF先生は大変分かりやすく面白く授業で話してくれたものである。改めてF先生の偉大さを知る。

言いたいことをギュッと絞って、クイズも取り入れて、来場者参加型にしてみる。そうだ、YouTubeやテレビの番組でやっているように、場面が変わるときに効果音を入れてみよう。リコーダーでア○パ○マ○のテーマを4小節だけ吹いて、6回ある説明項目の変わり目にアクセントを。
クイズ出題のひとつとして、陰陽論の問題を出した。陰陽論とはこの世のものを相対的に分けると陰か陽に分類されるというものだ。例えば、陰→夜 陽→昼。陰→女 陽→男 などだ。問題は『奇数偶数、それぞれ陰はどちら?陽はどちら?』というものだった。
数にも陰と陽があるんですよね。さて、来場者の方のお答えは・・・打ち合わせたように全員が「陰→奇数 陽→偶数」とのこと。話し手としてはちょっと快感。なぜなら、正解は、逆の「陰→偶数 陽→奇数」だったからである。
え~意外~。何でだろ~。みたいな皆さんの顔を確認してから、「よしよし。」と説明をする。
「理由になるか分かりませんが、七五三のお祝いや節目の季節の行事などは、みな奇数となっています。1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、そして9月9日は重陽の日です。古来から、おめでたい数として奇数が扱われてきました。ただ大前提として、陰も陽もお互いがバランスを取って存在していることが大事で、どちらか片方だけがあればよい、というものでもない、ということを付け加えておきます。」
プロジェクターを操作してくれていた看護師さんが、その話を聞きながら大きくうなずく。
後半は舌診とツボの説明、及びデモンストレーション。
シール鍼とお灸の説明をする中で、急遽全員の方にどちらかを体験してもらいましょうということになり、それまでシーンと真剣に話を聞く雰囲気だったのが、いい感じにほぐれて皆さんご自身の体調についてしゃべり出す。睡眠のこと、冷えのこと、手足の痛みのこと、女性の方は白髪対策やお肌の悩みなども。なんだか急に盛り上がり、来場者同士でも情報交換し出す。
ちょうど、「ここで休憩を挟みながらやりましょう。」ということで、医療スタッフさん達がお茶とお菓子を用意してくれる。お灸希望組は、煙感知器が作動しないよう外に移動したベンチに腰掛けて、お茶を飲みながら、お話ししたり、お灸を受けたり。空がきれいで、温かい日だ。「あ~鍼灸は有りなしどちらにしても、こういう場って必要だよな~。」と感じる。
何か難しい名前がつく病気がある人もない人も、まずは日々感じているご自身の体調についてアウトプットし、それに耳を傾ける人がいてくれて、人とコミュニケーションしながらお茶を飲んだり、なおかつ施術を受けたり。それってすごくいい時間じゃないかと思う。
情報を得るだけだったらインターネットでできる。でも、既知の人と定期的に会って、「最近どう?」と声をかけあうのって、年をとっても、いや、年をとったらよけい必要だと思う。

鍼灸治療は、普通40分前後の時間1対1(施術者と患者さん)で行われるけれど、今回はお話会ということもあり、ちょうどいい人数が集まって、ほどよく懇談、ほどよく鍼灸体験、ということが実現した。まるで鍼灸クラブ?鍼灸サークルだ。
今回はこの診療所にて月2回行われている「お達者ミニデイ」というイベントにボランティアとして参加させていただいた。このイベントでは地域の方を講師に呼んで、苔アートづくりをしたり英会話や手芸、ヨガをしたりなど、様々な楽しみ方をしているらしい。小さな町の小さな診療所だからこそできる、アットホームな企画だと思う。考えついた看護師長さん、そして企画運営をしているスタッフ皆さんの素晴らしい働きがあってこその実現だと思う
今回は、自分にとってとてもよい経験となった。そして来場者の方に東洋医学・鍼灸に興味関心をもってもらえて嬉しい限り。看護師長さんから「是非今度も。」と嬉しいお声かけをいただいたので、「東洋医学ってなあに?第2弾」の構想を練っていこうかなと思っている。今年は受験生なので、実現は国家試験後になるかもしれないけれど、構想を練っていこうと思っている。