旅1日目の夜、翌日のザーザー降りの天気予報に観念した私は、「雨でも楽しめるところに変更しよっか。美術館もいっぱいあるみたいだし。」と娘と相談していた。
しかし、布団に入って考えた。「イヤ、今回は諏訪大社めぐりが目的だったから、やっぱり雨の中頑張ってでもあと2社まわりたい!」
翌朝、娘にそう話すと「まあべつにいいけど。」といった感じ。彼女はひとりで朝風呂へ行き、他のご婦人と世間話をしてきたという。

朝ご飯をいただき、しっとりと霧のような雨が降る中、タクシーを呼んで上諏訪駅へ。

駅のホームにある足湯。春休みとはいえ、平日だったせいか人はいなかった。
1駅分列車に乗って下諏訪駅へ。駅でコインロッカーに大きな荷物を預け、バスを探す。マイクロバスあざみ号に乗る。万治の石仏という停車場まで。ここから春宮が近いのだと事前に調べてある。
雨が少し強くなってきたのもあり、今回は万治の石仏へは行かなかった。
春宮の敷地に入ると、なんとも言えない静寂が身を包む。なんでも、下社の春宮・秋宮は、季節によって神様が移動するのだという。そして今はちょうど春宮に神様がいらっしゃるというから、心を込めてお参りしたいと思う。

上の写真正面に見えるのは、本殿前の神楽殿。古来、音曲舞踊は、神様に喜んでいただくために大きな役割を担っていたことがうかがえる。

本殿。こちらでも、昨日同様、鍼灸師としての心構えを宣言し、お祈りをする。

御柱。大地に立てたアンテナのよう。もしくは、大地のツボに刺した、鍼。
つまり、諏訪の地は、地球のエネルギーが通る経脈上にあるのかもしれない。
春宮前のマンホール。

次のバス停を探せ
次に秋宮まで歩くのは、昨日の反省を踏まえてやめておきたいから、バスの時間を調べてあった。地図上だと春宮近くの「宮の上」というバス停から、ちょうどいい頃合いのバスが出るはずだ。Googleの地図で調べて向かってみるも、道が曲がりくねっている上に高低差がある地形で、いまいちよく分からない。
疲れないためにバス停を探しているのに、疲れてきた。
鋭角カーブの道を横断。遠くに諏訪湖が見える。

「待って、この道じゃ無くて、一本上の道かも。」
地図状だとバス停はすぐ隣なのに!
この階段登るのー?!確かに「宮の上」バス停だわ。

おかしいな、歩きたくなくてバスを利用するのに、バス停探してめっちゃ歩いてる。
やってきたバスにわずかな時間揺られ、秋宮到着。
寝入りの松。

御柱。

シャワーのような雨に降られ、あまり自由に散策するでも無い感じの私達。
秋宮前の土産店でぶらぶらしたのち、すぐ近くのそば屋「山猫亭 本店」を目指す。
開店までまだ少し時間があったので、「歩きたくないから待ってる」という娘を置いて、私はお目当ての和菓子や「新鶴」へ。

かわいい~♡
名物塩ようかんの他に、こんな魅力的な和菓子も!我が家用にいくつか選ぶ。

賞味期限は明日までだそう。かえって信頼できます。
店内に置かれたガラス工芸。

「もしかしてガレですか?」「先代が好きだったらしくて」
審美眼あってこその、伝統を大事にする老舗和菓子店なのだなと納得。
再びそば屋前で娘と合流し、昼食。
写真は撮り忘れたが、雨で冷え始めた体に温かいおそばが嬉しかった。
寒邪が
そう、雨がだいぶしっかり降るようになってきて、足下も冷たく感じられてきた。足下が冷やされると、全身が冷えてくる。帰りの列車までまだだいぶある。お土産を見ながら、時間をつぶそう。
食祭館という大きな土産店でゆっくり買い物をするも、どんどん寒くなってきた。
やばい。風邪ひくかも。
昨日はあんなに暑かったのに!
シャワーのような雨に冷やされた足下を温めるべく、食祭館敷地内にある足湯に入ることにした。

あったかい・・・。
だんだん、冷えも取れてきて、元気になってきた。
よかった~。この足湯がなかったら、風邪ひいてたと思う。
40分くらいはここに入っていただろうか。娘は途中でコンビニに行ったり買い物に行ったりしていたけれど、母はずっと足湯で暖ををとっていた。
車で行動することが常だから、こうして「時間をつぶす」なんてことほとんどないけれど、公共交通機関を利用する人はこうして、なんとかどこかで時間をつぶしたり過ごし方を工夫してやりくりしているんだよなあと思った。車社会だと自分の思い通りに行動をカスタマイズできる一方、与えられた中で受け入れる力が育ちにくいかもしれない。
いざ、帰路に向かうためタクシーを呼んで再び下諏訪駅へ。
さようなら、諏訪の地。
中央本線で約2時間、長野駅まで向かう。疲れた私は途中うとうとしながら、娘と隣り合って列車に揺られた。
列車が逆走
途中、姥捨駅に停車したあと、列車が進行方向と逆に走り出したのにはびっくりした。
「あれ?これじゃまた松本方面に戻っちゃう!なんで?長野駅での新幹線に間に合わない?なんで元来た道戻るの?どういうこと?」
一瞬アタマの中が?でいっぱいになった。乗り換えが必要で、忘れていたのかな?とも思った。
しばらく走った後、ゆっくりと止まると、また列車は本来進む長野方向へと走り出した。
イマノナニ?
よくよく調べてみると、これはスイッチバック方式と言って、勾配が激しい路線でうまく列車を走らせるための工夫らしい。(駅と本線が別になっている)「ただいまスイッチバック中~。」とか放送してくれればいいのに・・・。ちょっと慌てた。
長野駅にて、駅弁を買い、お土産も買い、新幹線へ。

1泊だけだったのに、本当に色んな経験をしてぎっしり詰まった時間を過ごした。
車で行くのでなく、公共交通機関を乗り継いでいったからなおさらだと思う。
ネットや、本や、動画で見てその気分を味わうのもいいけれど、実際その場へ足を運んで経験するのとは全然違うことが、旅をしてみて分かった。
おもしろかった!
旅のお供をしてくれた娘にもありがとう。