鍼灸の学校は、今実技試験の真っ最中だ。くじ引きで決められたペアを相手に、手先の技術はもちろんのこと、患者さんへの誘導の仕方や衛生面での管理も審査される。自分は水曜日に何とか鍼の試験を終え、今は来週のお灸の試験に向けて準備中だ。実はこれらの実技試験、5分間のタイムリミットが設けられている。

クラスメイトの中には課題の最後まで行う前に5分経ってしまい、試験を打ち切られてしまった仲間もおり、明日は我が身と、震えるような思いでいる。このタイムリミットがあるというのが、一番焦る要素だと思う。
このタイムリミットという事に関しては、吹奏楽を長らくやっていた私にとってコンクールを想起させる。
吹奏楽コンクールだと
例えばコンクールA編成の場合、課題曲・自由曲合わせて12分間という制限があり、いくら演奏が素晴らしくてもオーバーすると賞は付かずに失格になってしまうとのことだ。

自分が中高生の頃は、タイムオーバーになったらどうなるのか?という話題になり「1秒でも時間を超すと、演奏中でも幕が降りてくるらしい。」「えーやだ~。」「いや、ブーってサイレンみたいな音が鳴って、演奏が止められるんじゃないか。」など、色々な噂がまことしやかにささやかれていた。
大学の時は、コンクールメンバーの55名以外にタイムキーパーという役割の1年生が二人抜擢されていた。この二人はスコア片手に普段から演奏の所要時間の記録を事細かにつけている。コンクール本番では客席の最前列の一番端に陣取り、白手袋でスケッチブックを掲げ、指揮者に残り時間の合図を送る。指揮者はチラッと斜め後ろに目をやり、タイムキーパーのサインを確認しつつ演奏のエンディング部分のフェルマータの長さを調節している様子が、当時のコンクール動画にも残っている。
正に、テレビ番組のアシスタントディレクター兼、高校野球のマネージャーか伝令のような役割だった。


と、そこまで確実に時間の管理をしていたんだよなあと思いを馳せつつ、今回の実技試験に向けてはリハーサルを毎晩家で、ストップウォッチをかけながら行おうかと思う。タイムキーパーは、試験を受ける自分自身。あとは、夫か娘か、お灸の実験台になってくれるよう頼まねば。