授業で突発性難聴について学んだ。
大事な点は、「あ、聞こえない。」となってから、2週間以内が勝負だという事だ。それを過ぎてしまうと、治療効果を上げることは難しくなるそうだ。
実は、私の母が三十数年前から左耳に難聴を抱えている。右耳は聞こえるため、会話にそれほど困った覚えは(私は)ないのだが、本人の感じる不調は多岐にわたって自身を悩ませてきた。まず、めまい。耳は言わずと知れた平衡感覚をつかさどる器官でもある。また、頭痛。首からこわばる感じがして、ひどくなるときはまさに雲行きが怪しくなるかのように、本人も家族も分かるのだった。きまって生あくびをしていたのを今でも思い出す。
東洋医学的には、耳の疾患は、腎とつながりが深い。「腎は耳に開竅する。」と言われている。また、「臓の変調で現れる動作」も、腎は「欠」が該当する。欠=あくびである。まさに、母の症状は腎の失調だったと思う。

そして、数日やつれた顔をして何も食べず水もほとんど飲めず、寝込む。子どもだった私は、そんな母の顔をじっと見て、かわいそうでならなかった。私の健康への強い興味は、そんな母の様子を見ていた幼少期に培われた。

母のこの症状はなにゆえなのか。
ずっと長い間分からなかったけれど、つい数年前、私がお世話になっているかかりつけのDr.に母は診ていただくことで、「腑に落ちた」答えにたどり着いたという。
そのDr.は、統合診療医で、心身をまるごと診てくれる。そして量子物理学を基にした波動医療を用いて、臓器の状態やウイルス・細菌感染などについて身体を侵襲する検査なしに、推定することができる。
Dr.が耳の状態を診るに、「おそらく過去にヘルペスウイルス感染によって左耳がやられてしまったような形跡が見てとれる。」とのことで、母は「あ!確かに、痛いできものが耳周辺にできたことがあった。」とつながったのだそうだ。
ヘルペスウイルス
ヘルペスウイルスは、子どもでは水ぼうそうとして罹り、症状は治まっても潜在感染としてずっと三叉神経や肋間神経などにひそんでいるという。そして、大人になって免疫が下がったときなどにまた再活性化してわるさをするのだ。この、再活性化したものは名前が変わって、今はやりの帯状疱疹だ。

肋間神経あたりに出ることが多いが、とにかくこのウイルス、神経が大好きなのだ。
顔面神経や三叉神経に影響が出ると、顔面部の麻痺が現れる。それと共に難聴がでることもあり、こちらはラムゼイ・ハント症候群といって、最近ヴァイオリン奏者の葉加瀬太郎氏が罹患したそうだ。
母の難聴がヘルペスウイルス由来かもしれないと言うことは分かった。しかし、もう30年余り経っていると、治すのは難しいのかな。授業では、23カ所の刺鍼部位を教わった。(耳まわりや胸鎖乳突筋、頭部など)今度実家に帰ったら、母に治療してみようと思う。
突発性難聴がすべてヘルペスウイルスからくるものというわけではない。しかし原因はなんであれ、とにかくこの症状が出たら、2週間、いや、1週間待たずに医療機関を受診したほうがよい。おそらくステロイドや抗ウイルス薬などの処方がされるはずだ。早ければ早いほど、治る可能性が高い。そして、西洋医学と並行して、東洋医学という方法もあるということを声を大にして言いたい。この両者はけんかをせず、お互い補い合って突発性難聴を治癒に導くはたらきをする。ある鍼灸院の先生は、ご自身が高度難聴者ということで鍼灸を学び、治療家歴24年の間に健常化例1652例の実績を挙げているそうだ。
聴力は、一度失ったら回復が難しいのだ。